先日の日本教師塾の懇親会で、小学校の先生から気掛かりな話を聴いた。
新型コロナウイルス対策として、政府が緊急事態宣言に先立って、
いち早く実施した“全国一斉休校”の悪影響について。
休校が解除された今も、不登校を続けている児童がいるという。
又、家庭内暴力で児童相談所に預けられた子供もいるそうだ。無論、これらは各地で多数、発生している問題のごく一端に過ぎないだろう。
そうした事態に対処する為に、現場の先生方には大きな負担が
のし掛かっているに違いない。7月15日時点のデータで、10代のPCR検査陽性者は全国で僅か655名、
10歳未満の陽性者409名で、死者は勿論どちらも0。
陽性者も無症状か、発熱も無い程度の軽症など(親が陽性者なので検査を
受けた、という程度)。
その親の世代の陽性者に占める死者の割合も、今のところ30代で約0.1%、
40代で約0.4%という状況。これらの数字は、分母になる陽性者数が実際の(無症状の)感染者より、
かなり少なく出ている。
なので、実態はもっともっと低いはずだ。
そうした実情を踏まえると、ピンポイントの学級閉鎖でなく、
特定学校の休校でもなく、限定された地域の休校ですらなく、
(現時点でも、全国の地方自治体の多くで、陽性者がごく少数に
とどまっているにも拘らず)“全国一斉休校”という措置が、
緊急事態宣言も“出されていない”時点で決断されたことは、
果たして適時適切なことだったのか、どうか。私は「鶏を割(さ)くに、いずくんぞ(又は、なんぞ)牛刀(ぎゅうとう)
を用いん(小さなニワトリを料理するのに、どうして大きな牛を切る為
の包丁が要るのか)」という、『論語』(陽貨篇)に出てくる孔子の言葉
を思い出してしまう。それが政治指導者のパフォーマンスや、役人の保身や、
テレビ等の科学的根拠に基づかない無責任な“煽り”によって、
十分な思慮も無く行われたのであれば、到底許し難い。今回の休校措置が、子供達の健康、生活、学力の面で、
実際にどのようなプラス・マイナスの影響を与えたのか、
文部科学省は厳重に調査すべきだ。民間のジャーナリストも徹底的に取材して、実態を明らかにして欲しい。
しかし、本当にその弊害が明らかになるのは、恐らく今から10年後、
20年後だろう。
子供達一人ひとりの人生や、将来の日本の国力それ自体に、
どんな影を投げ掛けることになるか。【高森明勅公式サイト】
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